精神遅滞者とされパン屋に勤め、大学の研究室に足を運んでいるチャーリィは、手術をして天才的な能力を持つネズミのアルジャーノンに興味を持つ。大学の博士たちは人間として第一号となる手術をチャーリィに施し、チャーリィの術後IQが人並み以上に発達していく経過をみていき、学会で発表することになる。チャーリィは天才的な知能を手にいれたが、恐怖、不安、過去の出来事、他人への疑心暗鬼など苦悩していく。しかし、ネズミのアルジャーノンの能力がだんだん退行していく様子をみているうちに、自分の中で起こっていることを冷静に見つめ、その後のことを考えるようになる・・・。
感動させられた本でした。チャーリィが天才的になって葛藤しているところは、IQが高く勉強ができることが果たして幸せなのだろうかと思いました。何も知らないことや考えないことが案外幸せなことで、人間が持っている知能とは一体なんなのだろうと考えさせられました。人間のために実験されたアルジャーノンもチャーリィもとても切ない存在で、チャーリィのアルジャーノンにたいする思いやりも哀しいものでした。初めて読んだ本でしたが、人間の幸せとはと問われた本のようで、感慨深い一冊となりました。
長編ですが、興味のあるかたはぜひとオススメしたい本です。